ビジネスモデル・ジェネレーション読書会の備忘録

先日、「ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書」の社内読書会を行いました。

ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書

ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書

内容

この本は、ビジネスモデルの要素を解説し、どのようにイノベーションを生み出す事ができるのか書かれています。 以下の5つの章で構成されています。

  • キャンバス(Canvas)
  • パターン(Patterns)
  • デザイン(Design)
  • 戦略(Strategy)
  • プロセス(Process)

本の感想

全体的に図や絵での説明が多く読みやすい本でした。

特に素晴らしい部分は、第1章の「キャンバス」で、「ビジネスモデルキャンバス」というビジネスモデルを記述、分析、デザインするためのフレームワークについて説明しているところです。

具体的にはビジネスモデルを9つのブロックに分ける事で、ビジネスモデルという抽象的な概念を具体的に表現し、その理解を深める事が可能になったためです。

また、第3章の「デザイン」では「デザイナーのビジネスは新しいものを生み出す厳しいもの」と前置きし、思考の限界を拡張して「まだ存在しない何か」を想像する力をビジネスモデル開発に活かそうという内容です。

その中で「最初のアイデアと恋に落るな、より洗練された恋(アイデア)を探求せよ」(意訳)というような一説が記載されており、いかにも短絡的な私が陥りそうな罠の回避策が記載してあり、深く胸を打ちました。

実際にビジネスモデルキャンバスを使ってみる

勉強の為に「フリマアプリ」最大手のメルカリのビジネスモデルをビジネスモデルキャンバスに落とし込んでみました。

  • 黄色がリリース時で、赤色は現在です。

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相互に依存した「商品を売りたい人」と「商品を買いたい人」という顧客グループを引き合わせ、仲介者として価値を生み出すところからビジネスモデルパターンはマルチサイドプラットフォームだという事がわかります。

マルチサイドプラットフォームの価値は、別サイドの顧客グループの数に実質的に依存している為、一つの顧客グループを支援しなければならないのですが、メルカリが取った戦略も「3分で出品できる」という、「自分のいらなくなったものを売りたい人」という一つの顧客グループの支援から始まっていました。

また、ここまでメルカリが爆発的に普及した理由として以下2点が上げられます

  • 2013年7月にメルカリが登場するまで、それまでのECサービスとしてよく見られていた「マーケットプレイス」というBtoBやBtoCメインのサービス提供方法を「フリマアプリ」として手軽にCtoCが行えるような価値提案を行った。

  • オークション市場のプラットフォームを担っていたYahooオークション等の面倒な部分を排除した事で、そのプラットフォームが抱える顧客グループを取り込めた事でネットワーク効果を最大限に受益した。

このようにビジネスモデルキャンバスに落としこむとメルカリの場合、ビジネスモデルイノベーション震源地はキャンバスの「価値提案」の部分から発生する「価値提案主導」と「顧客セグメント」の部分から発生する「顧客主導」だと分析できたり、「とりあえず仲介手数料で稼いでいるんでしょ」というイメージから視覚的にメルカリのビジネスモデルの理解を行う事ができました。

まとめ

ビジネスモデルキャンバスに落としこむ事で、アイデアに足りていないブロックを埋めたり、よりアイデアを洗練させたり、ビジネスモデルを具体的に説明する事が可能になるため 「ビジネスのアイデアはあるけどそれをどのように形にしていいのかわからない」というような人にとっては大変参考になる本だと思いました。

今後このビジネスモデルジェネレーションの手法を使って私もアイデアを形にしてみようと思います。